デートの待ち合わせで、二回もキスしてくれたこと。(ただし、ユリナのワガママで)
10万を越える指輪を買ってくれたこと。(これもワガママ)
その後二人でチーズケーキを食べたこと。(これも勇佑が奢ってくれた)
勇佑のネクタイをユリナが選んで、買ってあげたこと。
その後オシャレなレストランで食事をしたこと。
そして帰り際は、勇佑がキスしてくれたこと。(これもユリナのワガママだった)
全てを自慢げに話したら、その時友達が言った。
「へー。何だかんだで、上手くいってるんじゃん」
「うんっ。いいでしょ、勇佑優しいからー」
「え、でも、その後はどっちかのマンションに泊まったりしなかったの?」
「!」
…その言葉に、思わず手元の動きをピタリと止める。
それ言わないでよ…。
一応、誘ったんだから。
ユリナは、その問いに目の前のお肉を切りながら言った。
「…勇佑バイト忙しいからって。帰ってった」
「ユリナのマンションからじゃ遠いの?勇佑くんのバイト先」
「…………電車で10分くらい」
「え、めちゃ近じゃん!大丈夫ー?」
友達二人はユリナの言葉にそう言うと、笑っている場合じゃないのにケタケタ笑う。
…わかってる。
だから不安なんだよ。
……勇佑のバカ!

