本当は寒いけど、このまま二人で居たくて寒くないフリをする。
戻る?って言われたら嫌だから。
でも、勇佑くんがユリナの答えに「ふーん?」って見透かしたような目をするから、思わず目を逸らした。
…やっぱりカッコイイ、この人…。
こうやって勇佑くんと二人でいたら後で友達に何を言われるかわからないけど、それでもいいんだ。
隣で何気なく手があたったら、その瞬間ユリナの冷たい手にあったかい勇佑くんの手が繋がれた。
「…!」
「…手、冷たいな」
「け、けど、寒くはないよ」
「……戻る?」
「え、やだやだ!絶対いや!」
ユリナがそう言って首を横に振ったら、そんなユリナを見て勇佑くんがふっと笑う。
笑顔を初めて見た瞬間、ドキッとした。
嬉しかった。
…で、その後は、勇佑が近くの夜景を見れるところに連れて行ってくれて、そこで「付き合っちゃうか」って、なったんだっけ…。
ユリナはその時のことを思い返すと、ふいに視界に入った手元の指輪も嬉しすぎて、思わず勇佑にラインをした。
“勇佑、指輪ありがと!愛してるっ”
その文字に、真っ赤なハートをつける。
返事がすぐに欲しくて、トーク画面を開いたままそれをじっと待った。
………けど、そんなすぐにはこない。
愛が足りないぞー。
勇佑は、ユリナに「愛してる」って言ってくれたことは無いんだ…。

