「ど、どうしたの」



もう、心臓に悪い。

こんなふうに誰かに抱きしめられるなんて、慣れてないんだよあたしは。


そう思いながら問いかけたら、三島くんがあたしの耳元で言う。



「…帰したくなくて」

「!?…っ、」

「…なんて。ほんとは今日、俺もういっこ先輩に言いたいこと、あって誘ったんすよ」

「…?」



三島くんはそう言うと、あたしをゆっくり自身から離す。

至近距離で、交わる視線。

照れて逸らそうとしたら、その前に三島くんが逸らした。



「…なに…?」



その言葉に、あたしは首を傾げる。

すると、三島くんがまたゆっくり口を開いて…



「…俺、気になってたんすけど、」

「?」

「もしかして、麻妃先輩…」



しかし、三島くんが何かを言いかけた、その時……




「あー!カップルだぁー!」




「!!」

「!!」



突然、どこからか近くで子供のそんな声がした。