その言葉に、顔を上げる。

嘘だ、と三島くんを見る。

そんなの信じない。だって…。


するとそんなあたしに、三島くんが続ける。



「恋愛感情が、なかったわけじゃないんです。あの時もちゃんとありました。

…あったから、手を出したんです。好きじゃなかったら、あんなこと…してません」


「…っ」



好きだから?

あたしが勝手に決めつけていただけなの?


三島くんのその言葉で、またわからなくなる。

だってあたしは、そう思っていたんだ。

あの時の三島くん、いつもより乱暴だったし……怖かったし。

だから、これは「無い」って、そう思って…。



「…本当に、すみませんでした。麻妃先輩が高校を卒業するまでに本当は謝りたかったんですけど、タイミングを逃したんです。

今更許してくれとは言いません。でも、それなのにこの前先輩が俺のこと“好き”って言ってくれたから、これは中途半端なままにしておきたくなくて」



三島くんはそう言うと、改めてもう一度謝って、あたしに向かって深く頭を下げる。

それまでは正直半信半疑だったけど、さすがに今のこの状況で、彼の言葉は「嘘じゃない」ことがわかって…

あたしは、やがて意を決して言った。



「…頭、上げてよ三島くん」

「…」

「三島くん、なんか大人になったねぇ。昔はあんなに自分勝手で、あたしとか華木先輩とかも、手がつけられなかったのに」

「…先輩?」