モヤモヤしたまま三島くんの隣に並ぶと、三島くんがあたしに食べたいものを聞いてきた。
けど、今日は三島くんに任せる。三島くんのオススメの店がいい、なんて。
そう言ったら「オススメなんてないっすよー」って言いながらも、三島くんは歩きながら真剣に考えていた。
…それにしても、三島くんがあたしに「聞きたいこと」が気になるな…。
だけどお店を決めてたどり着くまでは、残念ながら教えてくれそうにない…。
…………
そのまま三島くんに着いていくと、やがてイタリアンレストランに到着した。
三島くんは個室があるところを探していたみたいで、このお店は奥の方に個室がいくつかあるらしい。
っていうかこのお店、外観からもうオシャレだ。それに店員さんも、美男美女が多い。
…三島くん、こういうお店とか知ってるんだ。
席に案内されて座ると、三島くんが目の前に座ってるこの状況がなんだか照れて、思わず口数が多くなる。
「すごいオシャレだね、このお店」
「先輩イタリアン好きっすか?」
「うん。好きだよー。でも男の人と二人でこんなオシャレなお店来たのは初めてだなぁ」
そして思わず、「三島くんは?」と言いかける。
でも口を開く前に、聞くのをやめた。
…だってそんなこと絶対聞きたくない。
「三島くん何食べるの?」
「……パスタ系とか?でも俺あんまりトマト好きじゃなくて」
「え、トマト美味しいのにー」
…そうなんだ。それは初耳。覚えておこう。

