……………
三島くんをあまり待たせないように急いで行ったら、
三島くんは会社の入り口付近にあるベンチに座っていた。
……けど。
「…!」
三島くんの名前を呼ぼうとして、あたしはふと気がつく。
陰になっててわかりにくかったけれど、三島くんの隣にあたしの知らない女の人が座っている…。
…誰…?
しかも二人は知り合いみたいで、何を話しているのかはわからないけれど、何かを話してるみたい。
見る限り…深刻そう?
相手の女の人の顔は横顔だけだからよく見えないけれど、笑っていないことは確か。
横顔だけでも可愛らしいコで、思わず少し嫌な予感がした。
…誰なんだろ。
同じ会社の人かな?
でも、あんなコ見たことない。
あたしがなかなか三島くんに声をかけられないでいたら、そのうち話は終わったみたいでそのコは三島くんから離れて行った。
「…三島くん、」
「!」
「ごめんね、待たせちゃって」
あたしはそのコがいなくなったのを確認すると、早速声をかけて三島くんに歩み寄る。
出来る限り、平然を装ってみた。
気にしてる、なんて気づかれたくない。
だけど、三島くんはあたしの言葉に首を横に振ると、言った。
「いえ。…あー…見ました?さっきの」
「うん?さっきのって?」
「…いや、見てないならいいっす」
…見ちゃったけどね。
だけど聞きたくないから、「何食べに行く?」と話を逸らす。
…さっき、最初に目が合った時の三島くんの困ったような顔が頭から離れない。

