でも、それだけじゃない。
三島くんはスマホを見て一瞬固まっていたり、トイレに行くフリをして外に出たのをあたしが窓から目撃したり…。
しかもそこで誰かと電話で話している姿が見えた。
…やっぱり、あれは嘘なんだ。
三島くんにはちゃんと彼女がいるんだ。
あたしはその姿を見て深くため息を吐くと、ふいに服のポケットからスマホを取り出す。
…渡辺部長…渡辺部長……。
だけどその瞬間、さっき会社で渡辺部長との会話が脳裏を過った。
“ですからもう、渡辺部長とは…”
“それはどうかな。君はまた、俺のところに来るよ。賭けてもいい”
「…っ」
…情けないなぁ。
早速、連絡先を引っ張り出しちゃうなんてね。
あたしは三島くんが来ないこの間に、こっそり渡辺部長に電話をした……。
…………
渡辺部長はまだ会社にいたらしく、この後話を聴いてくれると言った。
けど、実際会うのは別の場所。
渡辺部長はあたしが住むマンションに帰りに寄ってくれると言った。
…そして、ショックを受けたままのあたしは…
「…三島くん」
「?」

