「っ…もしかして、三島くんっ!?」


「あ…麻妃先輩っ!?」



それは、出勤前に近くのカフェに寄った時のこと。

毎日ここに寄るわけじゃないけど、気が向いた時にだけ寄っている今日は、たまたまそこに彼がいた。


…さすがに自分の目を疑った。

だって、この場所に彼がいるはずがないもの。

でも、目の前の彼はホンモノで…その懐かしい声で、「麻妃先輩」とまた呼んでくれた。


…三島くんと会話をするのは、あの「合宿」以来だな。

三島くんは今日が初日だから緊張しているのか口数が少なかったけれど、一方のあたしはまさかの再会に嬉しくてたくさん喋ってしまう。


心に出来ていた隙間が、三島くんのおかげで満たされていく。

しかも三島くんが今日から働く会社があたしがいる会社、しかも同じ部署らしく、あたしは運命さえ感じた。



この再会を大事にしたい。

大事にしたいから…



そしてその夜は誰もいない資料室で渡辺部長に逢って、あたしは“忘れたい”と言っていた人と奇跡的に逢えたことを報告した。


しかし…



「ですからもう、渡辺部長とは…」

「それはどうかな」

「え、」

「君はまた、俺のところに来るよ。賭けてもいい」