初恋フォルティッシモ


「…………。

………トイレ行ってきます」


「あ、行ってらっしゃい。場所わかる?」

「ハイ。なんとなく」



だけど………この弱い決心じゃまた結局言えずに、違うことを口にしてしまう。

トイレに行きたいわけじゃないのに。


俺はトイレに行くフリをすると、一旦店の外に出てユリナに電話をした。

何せあれからまた何回か鳴っていたみたいで、このままシカトしてると後が怖いから。



「…あ、もしもし?ど」



どした?


しかし、ユリナがすぐに電話に出たその直後、電話の向こうでユリナが俺の言葉を遮って言った。



「ちょっと何してんの勇佑!!」

「…へ?」

「どれだけ電話したと思ってんの!?仕事は17時までじゃなかったの!?」

「え。あ、いや…」

「信じらんない!ずーっとユリナの電話にも出ないで!」



ユリナは完全に怒ったようにそう言うと、不機嫌なまま俺の返事を待つ。

浮気だったら許さないから、とか言いだすから…俺は出来るだけ冷静に答えた。



「…浮気じゃないよ。勝手に決めつけんな」

「じゃー何。だったら今すぐユリナに逢いに来て!」

「は?お前何でそんなっ、」

「出来ないの!?…浮気なんだっ!」

「ちーがうっつの!」



……まぁ、そうかもしれないけど。