初恋フォルティッシモ


だけど、自分の感情は尚も表に出さないまま、やがて俺達はようやく到着した目的の中華料理店の中に入った。

店内に入った途端に良い匂いが漂ってきて、食欲をそそられる。

店員に案内されて狭い個室に入ると、麻妃先輩がメニューを開くなり言った。



「お腹空いたねー」

「…小籠包とか美味そう」

「あ、ここの小籠包オススメだよ!すっごい美味しいから!」



俺にそう言って、「でね、あとはコレとかも美味しくて…」なんて、麻妃先輩は嬉しそうに話しだす。

っつか、俺ってこんな無口だっけ。

でも、その笑顔をまだ、俺は黙って見ていたくて、言おうとした言葉を飲み込んだ。



「…あ、デザートも美味しそうじゃない?」

「太りますよ先輩、」

「ええーそれも困るー」

「…」



…もしも俺が麻妃先輩の彼氏になったら、この笑顔を隣で独占できるのかな。

だったら今俺がすべきことは、やっぱり過去のことを素直に麻妃先輩に謝って、それからちゃんと告白して…。

…だけど。

今せっかくこうやって麻妃先輩が笑ってくれているのに、わざわざあの過去をほじくり返すのも…どうなんだよ俺。


そう思いながら、尚も麻妃先輩を見つめていたら、ふいにその時目が合って、麻妃先輩が俺を見てニコリと照れたように微笑んだ。


…可愛すぎる。

やっぱ、今すぐにでも麻妃先輩を俺の彼女にしたい。