初恋フォルティッシモ


「え、行ってくれるの?っていうか三島くん、あたしが誘ったんだからあたしが奢るよ」



それにあたしが先輩なんだし。

そして、俺の言葉に麻妃先輩はそう言うと、「こっちの通りに美味しいお店があるんだよ」と歩きだす。


…デートだ、なんて思ってんのは…俺の方か。


黙って麻妃先輩について行くと、その時俺は何気なく自身のスマホに目を遣った。

ところで、今何時だ?

そう思って画面を見てみたら、思わず俺はびっくりして目を見開いた。



「…!?」



ヤベ、

ユリナから着信がいっぱいきてる…。


そう思って、固まっていると…



「…三島くん?」

「!」

「どうかしたの?」



やがて麻妃先輩がそんな俺に気がついて、首を傾げた。

…けど、慌てて何でもないフリをする。

こっちだって今は大事なんだ。



「や、何でもないっす」

「そう?あ、それより三島くん、中華とか平気?今から行くところ、中華料理屋なんだよ」

「全然平気っすよ。先輩中華好きなんすか?」

「うん、大好き」



麻妃先輩はまるで語尾にハートマークがつきそうな言い方でそう言うと、至近距離で俺に向かって笑顔を浮かべる。


…反則だろ、それ。

「今日は帰さないで」って言ってるようなモンだろ。