初恋フォルティッシモ


俺はそう思うと、出入り口に向かって歩きだす麻妃先輩を、後ろから見つめる。

今すぐにでも自分のものにしたくて、思わず両手が伸びてしまうけど…気づかれないうちにすぐに引っ込めた。



「…っ…」



“…も、きらい”

“え、”

“あたし、三島くんキライ…っ”



…あの過去が、どうしても今の自分の邪魔をする。

今ここで抱きしめたら、麻妃先輩は同じことを言うのかな。


俺が静かにそんなことを考えていたら、そのうち麻妃先輩がまた俺の方を振り向いて言った。



「ってかさ、三島くんは何してたの」

「え、」

「仕事終わってから結構時間経ってるけど…残業?なわけないよね、今日が初日なんだし」



麻妃先輩はそう言うと、不思議そうに俺を見つめる。

俺はその視線に内心ドキドキしながら、麻妃先輩を見れずに言った。



「…迷ってました」

「…エ」

「や、ここ広すぎてロビーどこかわからなくて」



…まずい。

ちょっと無理があったかな。


だけど…



「え、迷ってたの!?ずっと!?今の今まで!?」

「…ハイ」

「あははっ、ウケる三島くんっ!」