俺がいつまでもウカウカしていたら、やがて麻妃先輩の元にある男の人がやって来て…



「…あ、」



二人は、仲良くホテルの中に入って行ってしまった。


っ…何だよアレ!!


相手の男は麻妃先輩よりもかなり歳上だけど、まるで付き合っているかのように軽々しく麻妃先輩の肩を抱く。

そして一方、突然そんなシーンを目撃してしまった俺は…あまりのショックでその場を動けない。



「…っ」



その瞬間、耳にあてていたスマホを、情けなくぶらん、と下に下ろす。

俺は二人を後ろから見つめるだけで…何もできない。



『おい、三島!三島!?』

「…」

『おーい!どうしたんだよ!』

「…」

『おいって!みーしーまっ!!』

「…」



…確かに、俺は今更麻妃先輩とはそれ以上になりたいとかそんなことは望んでいなかった。

だってよくよく考えてみたら、麻妃先輩はもう20代後半に差し掛かろうとしているし、既に誰かと結婚していてもおかしくない。


……けど。


ずっと夢見てた再会は、思わぬ形で悪夢に変わってしまった。

これは、俺への罰なのか…。


いつまでも目に映していた先輩の姿は、そのうちにまた見えなくなってしまった……。