『三島くん、』



瞼の裏で、懐かしい声が俺を呼ぶ。


藤本麻妃(ふじもと あさひ)先輩。


その人は、俺の高校時代の部活の先輩であり、初恋の相手だ。



今でも目を閉じると決まって思い出すのは、

7年前のその頃には当たり前のように毎日見ていた、

先輩の笑顔や怒った顔、落ち込んだ顔に泣き顔…。


それらを思い出すと、今でもあの頃の気持ちが蘇る。




もしも、先輩と最後に会ったあの日、俺が素直になっていたら…

一言「好き」と言えていたら…


先輩は、今でも俺にあの色んな顔を見せてくれていたんだろうか…………。