しかし、お狐はいつか村人にまた信じて貰える日を信じて働き続けた。

でも心の無い言葉を言われたり、ゴミを投げつけられたり、中には人殺しと叫び鎌を投げつける者もいた。

かつて光っていたお狐の金色の毛も、あの時のように紅くなってしまっていた。

「あの時のようだな」

にたにたと笑う声がお狐の脳裏を駆け回った。どこかで聞いたことのあるような、湿っていて、地を這うような低い声で…

「狼…かい…?」

狼はお狐よりも一回り大きく…前に見た牙は更に尖っていた。

狼はにたにたと笑う。

「なあ…お狐様あ、生き神様になれてよかったでしゅねぇ…!おかげでこっちは狼の敵として狩られて絶滅寸前だったぜ…」

お狐の周りをぐるぐると回りながら皮肉混じりに狼はそう言った。

「君が…村人を殺していたのか…?」

「ふ〜、これだから狐は。簡単に動物を疑ってはいけないでしょう…?」

くすりくすりと笑う狼。

お狐は狼が憎くて堪らなかった。

「第一、狼に化けることができるわけないだろう?馬鹿だなあ」

そういわれてお狐は黙りこくった。