学校の玄関を出ると、肌寒い風が吹いていた。
11月半ば。
午後5時だけど、もう空は既に薄暗い。
「イオリの家久しぶりだから緊張しちゃう」
さっきの恥ずかしさか、肌寒いせいか、リナの頬が染まっているのが可愛い。
「夏休みにみんなで行ったきりだもんね」
「宿題やろうとか言ったのに結局みんなゲーム!」
「高校最後の夏休みは徹夜で終わったわ」
懐かしい話に花を咲かすこと15分。
住宅街の中に建つ、三階建ての大きなイオリの家の前。
「んじゃ、行ってらっしゃい」
私は離れてリナを家まで促す。
「え!?アヤ行かないの!?」
「......」
スマホをいじって聞こえないフリ。
「もう!」
これでも2人きりにさせるチャンスを作ってあげたんだけどな。
リナに伝わってるかな?この私の優しさ...。

