以前の佐橋先輩のイメージなら、さすがに私も警戒した。
あんなイケメンになると、女子の誘い方もこなれてるなぁって、疑ってたと思う。

でも、もう佐橋先輩がどういう人か知ってる。

彼は純粋に小説について語り合いたいだけなのだ。
女子として私に興味があるわけではない。


16時にバイトを上がり、IDで検索して佐橋先輩に連絡。

外の自転車置き場でこの作業をしたけれど、妙にドキドキした。

なんだかんだ言って連絡先を交換するってすごいことだ。
相手と繋がる術を手に入れるんだもん。

それが佐橋先輩だとしたら、余計に胸が苦しい。

って、最近私、変だ。

私たちは紀尾井屋書店の近くのファーストフード店で待ち合わせた。