VS IV Omnibus1 撃墜女王



 道理で、執務エリアで会うわけだ。

 彼もあの時に、緊急に辞令を受けていたに違いない。

 そして、ついでに一緒にここから出港、ということになったのだ。

 あの廊下のペーペーパイロットも。

 きっと、彼をTAだと知っていたに違いない。

 道理で、ジョウを見る目と区別しなかったワケだ。

 ペーペーならまだ、撃墜王なる連中を、化け物というより憧れに思っていてもおかしくないからだ。

 一方的な、ジョウの渾身の握手を受けても、変人男は微笑んでいる。

 その手を、忌々しく突き放す時。

 彼は、細めた目を開けて、こう言った。

「軍服は、襟までしっかり詰まっていて、つまらないと思わないか?」

 はぁ?

 話の流れのグダグダさ加減に、ジョウは睨み上げるのをこらえた。

 TAと女王という、異色の組み合わせに、周囲の人間が微妙に距離を取っているのは、ジョウの態度の悪さも関係しているだろう。

 それくらい、全身からトゲのオーラが出ているのが、自分でも分かった。

「中尉が、いま首にさげているものが、まったく見えないだろう?」

 にこり。

 3。

 2。

 1。

 ──ネックレスのことかぁぁぁ!!

 理解した瞬間、ジョウは精神に深い傷を負った。

 ま、さ、に、その通りだったからだ。

「お守りにでもすっか」などと、そのままブラ下げてきてしまった。

 こんな、大罠が待ち受けているとも知らず。

 ショック状態の彼女に。

「あ…ホントにさげてるのか」

 ジョウは聞いた。

 聞いてしまった。

 最後に小さく、「ラッキー」と言った男の声を。

「ええと、コウサカ中佐…ブリーフィングを始めてもよろしいでしょうか」

 固まったままのジョウと、にこやかで上機嫌なケイの間が、おそるおそる割られる。

「了解…手短に頼むよ」

 またな、という気配を感じる手が、ジョウの肩をぽんぽんと叩く。

 そして彼は、席へと戻っていった。

「また」は、ねぇよ!

 ジョウは、その背中が睨める一番遠い席に座りながら、脳内マシンガンを乱射し続けたのだった。