VS IV Omnibus1 撃墜女王



 軍服を身につけ、新しい階級章をつける。

 出港ぎりぎりセーフで、中尉に昇進したのだ。

 その受け取りで、搭乗が遅くなってしまった。

 まずは、短距離ワープできる戦艦で、新しい宙母に向かう。

 そこがしばらく、ジョウのベースになるのだ。

 他の撃墜王たちとも、その宙母で会えるだろう。

 乗り込んだ戦艦内を、案内される方へ移動していると。

「……!」

 目玉が飛び出す、というのは──きっと、いまみたいなことを言うのだ。

 一瞬前。

 クリアな壁の向こうに、何か見えた。

 こういう外部から見える部屋は、大抵がブリーフィングルームなどの集合設備だ。

「こちらです」

 最悪なことに、ジョウはその部屋へ案内された。

 三回、彼女は見間違いを祈った。

 親が信仰している、自分にとってはどうでもいい神様の名前を三回つぶやいて、天井を一度見つめて心を落ち着ける。

 見、間、違、い、だっ!

 そして、ついに意を決して、ジョウは室内をしっかり見た。

 軍服。

 階級章。

 そして、みっつ並ぶ──「A」。

「ようこそ当艦へ…ヒロイ少尉…ではなく、もう中尉か」

 しらじらしい、笑顔。

 あああああああ。

 ブン殴らせろ! 今すぐ! 今すぐ!!

 いけしゃあしゃあと、挨拶の手を差し出すその男の顔に、伝説の三十連発パンチを決める──妄想の中で。

 なんでそこにいるとか、どうして制服ではなく軍服なのかとか、問いただすのもイヤになる。

 その肩のAで、もう腹いっぱいだ。

「TAに、生きてお目にかかれるとは…は、じ、め、ま、し、て、中、佐」

 引きつりながら、ジョウは握手の手を渾身の力で握りつぶそうとした。

 トリプル・エース。

 それが一体何なのかもう、頭の中で反芻もしたくなかった。