VS IV Omnibus1 撃墜女王



 ベルの音に飛び起きたら──朝だった。

「いたた」

 ぐちゃぐちゃの毛布やシーツに、ひっからまりながら起き上がろうとすると、身体のあちこちが痛い。

 とにかく、ベルを止める。

 あー。

 自分の首をひっかくようにしながら、そしてジョウはいろいろ思い出した。

 そうか。

 もう行っちまったか、と。

 寝具が見事にとっちらかしているのも、自分がすっ裸なのも、身体が痛いのも──そして、いま一人なのも。

 全部、綺麗に思い出した。

 首にかけていた自分の指が、何かに当たった。

 引っ張ってみると。

「あ…」

 あの男にやろうとしたネックレスが、自分の首にぶら下がっているではないか。

 なんだか。

 おかしくなった。

「気に入った女にやれって言ったのに、な」

 その意趣返しなのか、はたまた本当にいらなかったのか。

 どっちにせよ、結果的には突っ返されたワケだ。

 困ったな。

 ジョウは、笑うしかない。

 バカなほど単純な自分に、だ。

 死にたくなくなってしまったのだ。

 ほんの短い時間。

 もう、会うこともない男と過ごした時間だけで、自分の命の往生際の悪さに気づくなんて。

「やって…みっか」

 あーあ、とため息をつく。

 物凄く積極的な気持ち、というわけではない。

 だが、新しい遺書を書く気がなくなったのだけは──確かだった。