VS IV Omnibus1 撃墜女王



「あ、そうだ…これ」

 右手に握ったものを、ジョウは突き出す。

 そこまできて、何という理由をつけるかを、忘れている自分に気づいた。

 男にネックレスを渡す、自然な理由が思いつかない。

「なんだ?」

 大きな手を出すケイに、しまったなと思いながらも、握っているものを落とした。

 シャリ。

 落ちる、鎖。

 それを目で追ったケイは、次に顔を上げて彼女を見る。

「あ、いや、別にたいした意味はないぜ…結構いいものみたいだから、気に入った女にでもやってくれよ」

 準備の悪い自分の頭に悪態をつきながら、ジョウは笑ってごまかそうとした。

 瞬間。

 ジョウの右手は、掴まれていた。

 え?

 と思うまもなく、右手を軸に振り回されるように、ケイは反転していて。

 目の前に、自室のドアがある状態だ。

 そのまま。

 握られた自分の右手が、操られるようにキーパッドに押し付けられる。

 え!?

 指紋を感知したパッドが、彼女の鼻先で、再びドアを開けた。

 こんな不自然な、ドアの開け方をしたのは──生まれて初めてだ。