☆
交渉も、終戦も、戦後処理も。
人間側には、現時点で何の手立てもないのだ。
防衛ラインを押し戻し、頼むから早くあきらめてくれと祈るしかない──喜劇の戦争。
見えないものを撃墜して、「撃墜王」なのだ。
機体が感知して、自動でカウントしているのだが、ジョウにとっては笑い話と大差なかった。
ただ。
間違いなく相手は存在していて、一歩間違えれば、簡単に悲劇がとって変わることだけは確かだった。
まあ、ありがたいのは。
ジョウは、時々それを思う。
撃墜したところで、一切の罪悪感など感じないところだ。
それと。
人間同士の争いが、なくなったこと。
外敵が現れ、人間の種そのものが危険にさらされた時、人とはこんなにも団結できるものなのか。
人間同士で争ってる暇がなくなった、と言った方が正しいか。
その点だけは、人間はアイヴィーに感謝していいだろう。
陸戦と空戦が出るということは、今度の任務は、アイヴィーが占領している星に降下して、奪還に向けた足がかりを作ること。
電撃急襲のため、一番槍にもっとも適した実力者たちが選ばれている、ということか。
その道を通って、後から大部隊が入ってくる、という流れだろう。
「おーい」
向かいの席から呼びかけられて、ジョウはハッとした。
行儀悪く、フォークで人の料理を指すケイ。
「冷めるぞ」
目が半開きなのは、ジョウの心がここになかったせいか。
「ああ」
答えて、自分の料理にフォークを突き刺しながらも、彼女は胸がいっぱいになっていくのを感じた。
ふぅ。
「なぁ」
料理を口元まで運べないまま、彼を呼んでみる。
「この後、時間あるなら、ちょっとあたしの部屋に寄らないか? あ、ドアの前まで、な」
変な誤解を受けないように、ジョウは最後の点をきっちり言葉にした。
彼は──変人だし軽いが、悪いやつではない。
そして、おそらく今日を境に、もう二度と会えない。
そんな男に。
自己満足だと分かっていても、何か渡したくなったのだ。
家族以外の、誰か一人にくらい──自分の生きた証を持っていてほしかった。
交渉も、終戦も、戦後処理も。
人間側には、現時点で何の手立てもないのだ。
防衛ラインを押し戻し、頼むから早くあきらめてくれと祈るしかない──喜劇の戦争。
見えないものを撃墜して、「撃墜王」なのだ。
機体が感知して、自動でカウントしているのだが、ジョウにとっては笑い話と大差なかった。
ただ。
間違いなく相手は存在していて、一歩間違えれば、簡単に悲劇がとって変わることだけは確かだった。
まあ、ありがたいのは。
ジョウは、時々それを思う。
撃墜したところで、一切の罪悪感など感じないところだ。
それと。
人間同士の争いが、なくなったこと。
外敵が現れ、人間の種そのものが危険にさらされた時、人とはこんなにも団結できるものなのか。
人間同士で争ってる暇がなくなった、と言った方が正しいか。
その点だけは、人間はアイヴィーに感謝していいだろう。
陸戦と空戦が出るということは、今度の任務は、アイヴィーが占領している星に降下して、奪還に向けた足がかりを作ること。
電撃急襲のため、一番槍にもっとも適した実力者たちが選ばれている、ということか。
その道を通って、後から大部隊が入ってくる、という流れだろう。
「おーい」
向かいの席から呼びかけられて、ジョウはハッとした。
行儀悪く、フォークで人の料理を指すケイ。
「冷めるぞ」
目が半開きなのは、ジョウの心がここになかったせいか。
「ああ」
答えて、自分の料理にフォークを突き刺しながらも、彼女は胸がいっぱいになっていくのを感じた。
ふぅ。
「なぁ」
料理を口元まで運べないまま、彼を呼んでみる。
「この後、時間あるなら、ちょっとあたしの部屋に寄らないか? あ、ドアの前まで、な」
変な誤解を受けないように、ジョウは最後の点をきっちり言葉にした。
彼は──変人だし軽いが、悪いやつではない。
そして、おそらく今日を境に、もう二度と会えない。
そんな男に。
自己満足だと分かっていても、何か渡したくなったのだ。
家族以外の、誰か一人にくらい──自分の生きた証を持っていてほしかった。


