☆
この男が、ついていたのは。
いまのジョウがすっかり疲れていて、なおかつ、自分の命が長くないなと思っている時に再会したことか。
「いいぜ」
戦時というのは、人の判断力を平気でひねるものだ。
「そう言わずに、ご飯くらい…って、え!?」
まず拒否が来ると思っていたらしいケイは、先回りして答えかけた言葉を途中でひっくり返した。
じっと、ジョウを見る。
真意を一瞬探られる目になったが、すぐにふぬけた笑いに変えた。
「よし、気が変わる前に行こう」
嬉しそうに伸ばされた手が、ひょいっとジョウの手を掴んで引っ張る。
「おい…!」
手を引っ張られるほど、急ぐ必要などない。
ここはまだ、軍の執務エリアで誰が見ているか──って。
ジョウは、ふと疑問をよぎらせた。
「なんで、私服でこんなとこにいるんだ?」
「それなんだよ」
引っ張りながら先を行くケイは、不機嫌な目を一瞬だけ後方に見せた。
「大体、休暇で墓参りに来ただけだから、他の宙母で呼び出されるなんて思ってないだろ?」
だから、私服で十分だと行ったら──そう、ケイが続ける。
みなまで言われなくても、ジョウは結果が分かった。
軍の上の方など、規律の塊で。
そんなところに、アザ顔ぶらさげて私服で行くなんて。
「長かったなぁ…本題に入るまでが」
ほとほとうんざりという声が、想像力をかきたて、ジョウの笑いのスイッチを踏んでしまった。
「あんた…バカだろ」
変人は、貫くのが難しい。
特に、階級という壁の前では。
なのに、上官の前でさえ、彼は変人を貫いたのだ。
いっそすがすがしい。
ジョウでさえ、日和るのだ。
面倒な説教が増えるのが、ウザったくて。
変人を貫く男は、それでも中佐。
この階級社会で、この変人はどうやってそこまで上ったのか。
「バカもいいもんだな…笑ってくれたし」
バカと呼ばれて喜ぶ上官が──どこにいる。
この男が、ついていたのは。
いまのジョウがすっかり疲れていて、なおかつ、自分の命が長くないなと思っている時に再会したことか。
「いいぜ」
戦時というのは、人の判断力を平気でひねるものだ。
「そう言わずに、ご飯くらい…って、え!?」
まず拒否が来ると思っていたらしいケイは、先回りして答えかけた言葉を途中でひっくり返した。
じっと、ジョウを見る。
真意を一瞬探られる目になったが、すぐにふぬけた笑いに変えた。
「よし、気が変わる前に行こう」
嬉しそうに伸ばされた手が、ひょいっとジョウの手を掴んで引っ張る。
「おい…!」
手を引っ張られるほど、急ぐ必要などない。
ここはまだ、軍の執務エリアで誰が見ているか──って。
ジョウは、ふと疑問をよぎらせた。
「なんで、私服でこんなとこにいるんだ?」
「それなんだよ」
引っ張りながら先を行くケイは、不機嫌な目を一瞬だけ後方に見せた。
「大体、休暇で墓参りに来ただけだから、他の宙母で呼び出されるなんて思ってないだろ?」
だから、私服で十分だと行ったら──そう、ケイが続ける。
みなまで言われなくても、ジョウは結果が分かった。
軍の上の方など、規律の塊で。
そんなところに、アザ顔ぶらさげて私服で行くなんて。
「長かったなぁ…本題に入るまでが」
ほとほとうんざりという声が、想像力をかきたて、ジョウの笑いのスイッチを踏んでしまった。
「あんた…バカだろ」
変人は、貫くのが難しい。
特に、階級という壁の前では。
なのに、上官の前でさえ、彼は変人を貫いたのだ。
いっそすがすがしい。
ジョウでさえ、日和るのだ。
面倒な説教が増えるのが、ウザったくて。
変人を貫く男は、それでも中佐。
この階級社会で、この変人はどうやってそこまで上ったのか。
「バカもいいもんだな…笑ってくれたし」
バカと呼ばれて喜ぶ上官が──どこにいる。


