時を狂わせる者と 復元する者

『碧月へ

この手紙読んでいる頃には 僕は きっとこの世に居ないね。

もう死んじゃったのか- 情けないね 僕ってさ。

でも これで良かったんだ。 君が生きてくれる それだけで幸せだから

何で 水の中に 碧月を 閉じ込めたかって言うとね、 あの時 君は気を失って もう 逃げられなかったんだよ。 それで 僕は とっさに 水の中に 隠したって理由。

ごめん… もう 時間が無いや… 少し眠くなってきたんだ…

ありがとう… そして 大好きだ…』

途中で 力尽きたのか 後半は書かれていなかった。

「私が 代わってあげられたら…!!」

大切な人を失う事も無かったのに。

動かぬ屍の 肉の無い冷たい頬を 撫でながら

そっと涙を流した。

死人でも生者でも 私には 唯一の 身内だ。

私は 冷たい紅月の 屍に 寄り添うようにして眠りについた―。