アリストの3姉妹

小さな君主は賢く聡明で、心から信頼できた。
生まれながらの王だったのだろう。

時には母のいない寂しさをあやした日もあった。

小さな体にのしかかる、重い地位。
国の情勢も平安も、小さな少年王の言葉一つで良くも動き悪くも動く中、プレッシャーにたえた精神力。

小さい王ではあったが心から尊敬し敬愛していた。

いつも母のように優しく抱きしめてくれるアンジェには、初めての恋心を抱いたことも、届かぬ思い、失恋。そんなこともあった。

イリスの集めた聖水で病気の苦しみを癒されたことも何度もあった。

幼馴染のように育った同じ年頃のウェンディと城を抜け出して街を冒険したこともあった。そのあとこっぴどく叱られるのは当然ウェンディなのに、兄妹のように、親友のように、幼少期を一緒に過ごした。

あの君主はもういない。

君主の死、別れ。
それは、魔女として未来永劫の魂を手に入れたものには、生涯付いてくる悲しみ。


今、この場にいるのはその後王位を継承した実の弟君。
現在の君主。