やむをえず、3人娘達は牢屋に入れられたが、兵士も、家来も誰一人として、3人の魔女達を疑いはしていなかった。

牢屋とは名ばかり。牢の中には暖炉が用意され、冷たい石畳にはフカフカの絨毯が敷かれた。

『アンジェ様、イリス様、ウェンディ様、牢獄生活、なにか不自由はございませんか?民衆の混乱が止むまでの間の辛抱です。今しばらく、ご辛抱下さい。何か不自由がございましたら、なんなりと・・・』

兵士は鉄格子の外側で三姉妹に膝間づいた。

『兵士クラウド、お気遣い有難う。でも、どうでしょう?このような牢獄、私聞いた事がございませんわ。たかが付き人の魔女に何一つ不自由なく過ごせるよう気遣って頂き、暖かい牢獄です事。パンもスープも温かく、囚人の食事にフルーツを添えてくれるなんて、城中の皆様の気遣いや愛情が伝わって、いつも幸せな気持ちです。』

『私達が牢に入れられてしまっては、魔法の蒸篭も埃かぶってしまってる事でしょう。食糧難で皆お腹を空かせている事でしょうに、皆様が食事を取る事こそ、大切な日課ですのに。国の皆様の事だけが心配ですわ。兵士クラウド』