あの頃のように笑いあえたら

途中から夢中になり周りが見えてなかったが、どうやらトップでテープを切れたようだ。

「よっしゃ!よくやった!」

たまたまゴール付近にいた英介と3人でハイタッチをする。

「あはは、早く顔洗って来いよ」

水道を指差す英介の言葉に2人で顔を見合わせると、萌の顔は粉だらけで思わず吹き出す。

「もー!愛㮈だって〜!」

「きゃはは!」

慌てて水道へ向かう。

顔を拭きながらふと、まだゴール付近にいる英介が目に映る。

英介のまっすぐな視線の先には、他の生徒と話す真子の姿があった。

その瞳はいつも通り穏やかだけど、いつもより力強かった。

ーーがんばれ、英介!

控えめだけど、真はしっかりしている、そんな英介を真子はちゃんと見てるよ。

真子はきっと、あなたを受け入れる。

英介と真子のためにも、優勝したい。