あの頃のように笑いあえたら

ーー体育祭当日。

眩しい陽射しに照らされた会場は、想像以上に盛り上がっていた。

「D組〜ファイトーッ!」

応援の声がグラウンド中に響き渡る。


「雨宮さーん、このコーンって次使う?」

「ううん、使わないからそこ置いといて!」

各クラスの熱気に包まれる中、私はクラス委員長としての仕事に追われていた。

委員以外の生徒らも、それぞれの係りについて手伝ってくれているので、ほぼ順調に進んでいる。

午前の部、最後の競技は1年生男子による棒引きだ。

真ん中に置いてある長い棒を、自分の陣地により多く持って来た方が勝ちだ。

男子たちの力強い姿が見ものの競技だ。

「行くぞー! おーっ‼︎」

B組男子は青いハチマキに気合いを込める。

源の緩やかな髪に巻かれたハチマキが、風になびいているのが見える。

ーーパンッ!

ピストルの合図と共に、一斉に男子生徒が棒を目掛けてダッシュする。