あの頃のように笑いあえたら

頭の中にチラチラ浮かぶ源の顔を振り払う。

ーー告白。

今の私に、気持ちを伝える勇気はない。

「ふーん。そっか」

「勝は?誰かいないの?」

花の高校生活、恋の一つや二つしないとね。

「オレ? オレは……そんなヒマねーよ」

いつもまっすぐな勝が、珍しく目をそらす。

なんだかな、怪しいな。気になってる子くらいはいるんだろうな。

「ふふっ」

分かりやすさに思わず笑ってしまう。

「……なんだよ」

「ふふ、ごめん。早く部活行きなよ」

私は時計を見ながら促す。

「ああ、じゃ行くわ」

「うん、明日頑張ってね!」

「おう!応援よろしく」

大きな手を振って部屋を出て行く勝を見送り、また日誌に目を向ける。

告白……かぁ。

みんな、恋を楽しんでるんだな。

私にはまだ、そんな余裕ないかな。

また源の笑顔が浮かぶ。

ーードキドキ

英介の想いが、真子に届きますように。

2人のためにも、絶対優勝しないとな。