あの頃のように笑いあえたら

ーーガラッ

突然教室のドアが開き、ビクッとする。

入ってきたのは勝だった。

「あれ?まだいたのか?」

「うん、日誌書いてる。忘れ物?」

ニヤリとうなづいて私の前の椅子に座り、顔を出す。

「な、英介のこと、聞いたか?」

「なに?」

日誌を書く手を止め、首を傾ける。

「あいつ、体育祭優勝したら真子に告白するつもりらしい」

少し潜めた声。

「えっ?告白っ⁉︎」

思いもよらない言葉に声が大きくなる。

「こら!シーッ!」

子供のように、唇にあてられた指。

「あ、ごめん。そうか、告白か」

無邪気な笑顔をみせる勝。

「英介のやつ、普段はおとなしそうな顔して、やる時はやる、よな」

「うん、ほんと」

すごいな、英介。ちゃんと前に進もうとしている。

「うまくいくと、いいね」

勝の、いつも自信に溢れた目を見る。

「うん。おまえは?告白する相手とかいるの?」

えっ?

彼が照れている顔を見せるのは珍しい。

「……い、いや。今のところその予定はないけど」

不意の質問に焦ってしまう。