あの頃のように笑いあえたら

「ごめん〜!はぐれちゃったね」

「混んでるから、しゃーねーよ」

咲苗は勝と一緒だったようだ。
2人と顔を合わせ、目配せする。

それからは、6人で迷子にならないようにいろいろな魚を見て回った。

ひときわ薄暗いコーナーには、たくさんの種類のクラゲが展示されていた。

それぞれの水槽には工夫された照明が施され、神秘的な様子を見せていた。

「知ってる?クラゲって、海月って書くんだよ」

隣りにいた英介が言う。

「へぇ……海の月かぁ。ほんとキラキラして、そんな感じ」

「こんなとこ、彼氏と来たいなぁ」

いつの間にか咲苗も、同じ水槽の前にいた。

「えっ?おまえ彼氏いんの?」

「え。まだいない。」

3人で笑い合う。

きっと英介は、真子と2人で見たいなって思ってるんだろうな。

本当に、そんな日が近々くるかもしれない。

「クラゲ、好き?」

ふと隣りの英介が呟く。

「うん、好き」

「オレも!コリコリして美味いよな!」

「……」

そっちかよ。

「ぷっ!お腹すいてんだね、英介」

咲苗が思わず吹き出す。

英介のそんな天然なところに、真子は惹かれているんだろうな。

2人がうまくいくといい、心からそう願う。