あの頃のように笑いあえたら

スッキリ通った鼻筋、意思の強そうな口元。笑うと優しく細くなる、いつも寂しそうな目。

ー ーキレイだな。

男の子の顔をキレイだなんて思ったのは初めてだ。


私はパパを亡くし、源はお母さんを亡くした。

同じ、中2の時に。

同じような気持ちの人が、こんなに近くにいる。

それは少し嬉しくもあって、でも、とても切なかった。

私と同じ思いなんて、本当はもう誰もしなくていい。

自分のココロの奥にある、湿った暗い部分を誰かに話すのはとても勇気がいることだ。

「話してくれて、ありがと」

私の声に振り向いた源は、少しだけ笑っていた。

「ううん、聞いてくれてありがと」

さっきより少しだけ大きな声で。

ああ、そうだった。

誰かに聞いて欲しかったんだ。

きっと何も言わなくても分かるだろう、同じ境遇の私に。

まだ寂しさの残るその目に、私は笑顔を送る。