あの頃のように笑いあえたら

「ひゃーこんな近くで見たの初めて!」

私は咲苗とタツノオトシゴの前にいた。

「これってさ、泳いでるの?流されてるの?」

咲苗がマジメな顔で言うから、笑ってしまう。

そこへ、勝がやって来た。

「チャンス!行くぞ!」

「えっ?もう?」

真子と英介は並んでチンアナゴを眺めている。

勝に導かれコーナーを抜けると、そこにはもう源もいた。

少しの間みんなで2人を見守っていたが、チンアナゴの前から動こうとしないので、いつの間にやらすぐ先にいるペンギンにみんな目を移していた。

「うわー可愛い〜!」

たくさんのペンギン達が、思い思いの動きをしている。

私は、まだ可愛らしい毛の生えた子供のペンギンに目を奪われていた。

「……可愛いな」

気がつくと、源がすぐ隣で同じペンギンを見ていた。

人気のペンギンの前は人だかりで、思いのほか源の声は近かった。

なんだかドキドキする。

「うん。あれがお母さんかな」

私が指差す方を見る源。

「うん、そうかも」