あの頃のように笑いあえたら

待ち合わせの駅前では、もう咲苗と勝が待っていた。

「おはよー‼︎」
「おう!」

2人はニヤニヤしている。

「……?何〜?どうしたの?」

「おまえさ、真子と英介って両想いだと思わないか?」

少し小声で、周りを気にしている。

「え?うん……真子が英介好きなのは分かるけど。英介も?」

つられて私も声が小さくなる。

「オレは、そう睨んでる」

何故か自信満々だ。

両想い?真子と英介が?

「でさ、今日隙を見て2人きりにできたらなぁって今話してて」

咲苗も口を開く。

咲苗も勝も、あの2人がうまくいくといいって思ってるんだな。


「ほう!それはいいね」

急に今まで聞こえなかった場所から声がして、みんなが驚く。

「げんっ⁈」

いつの間にやら源が輪に入って、ニコニコしている、しかも乗り気だ。

「ああ、おはよ。そういうことで、チャンスがあれば合図するから」

「おっはよー!」

勝が言い終わるか終わらないうちに、当の真子が駆け寄ってきた。

今日は長い黒髪を風になびかせている。

「おはよう、真子!」