あの頃のように笑いあえたら

「手伝うよ」

いつの間にか、そばに源が立っていた。

「え?いいよ、一人で大丈夫」

できれば、2人きりにはなりたくない。

「2人でやれば、すぐ終わるよ」

……ですよね。

「うん、ありがと」

はぁ…せっかく手伝ってくれるって言ってるのに、どうして素直になれないかな。

2人で向かい合って座る。

源がまとめたプリントを、私がホチキスでとめていく。

カサッ、パチン。

誰もいない教室に、黙々と作業をする2人の乾いた音だけが響く。

ちょっと、何か話してよ。

無口な2人だけじゃ、この沈黙も無理ないか。そんな思いが通じたのか……

「おまえさ……」

プリントをまとめる手を止めるわけでもなく、私を見るでもなく、源が言った。

「ん?」

私は源の言い出す言葉が気になっているのを気づかれないように、手を止めずに返す。