あの頃のように笑いあえたら

『クールでミステリアス』

それが私のイメージなんだそうだ。

聞こえはかっこいいが、もちろん作られたイメージ像だ。

私は学校のみんなにこの仕事がバレたくないので、年齢しか公表していない。

よくあるモデルの私生活や、バッグの中身拝見〜!なんて特集もお断り。

芸名にしてもらったのも、そのためだ。

学校のみんなに知れたら、あの地味な愛㮈がモデル?なんて…きっと格好の餌食だろう。

最初は、面倒くさいヤツと思われてただろうけど、それがミステリアス〜と意外に読者ウケしてるらしく、私のイメージとして定着した。

正直、イメージなんてどうでもいい。

本当の私を、ここでさらけ出すつもりはない。

ただ、イメージばかりが一人歩きしているような気がするだけだ。

不器用で臆病な自分自身を奥底にしまう時に、ちょっと胸がチクチクするだけなんだ。

「さ、うるちゃんも今日は終わり〜!お疲れさま〜!」

「あ、はーいお疲れ様です」

作り笑いで、スタジオを後にする。