あの頃のように笑いあえたら

「お⁈やんできたぞ」

雨足を確かめるように、軒下から大きな手を出していた勝が空を見上げる。

「ここでジッとしてるのも寒いから行くか」

「うん、そだね」

工場の軒下を出てまだ薄暗い空の下、細い歩道を3人で歩き始める。

勝のたくましく大きな背中。

少し細い源の背中。

その少し後ろを行く私。

急な夕立ちでも、苦手な雷でも不安がなかったのは2人が一緒だったから。

ーー1人じゃない

こうして、ただ隣りにいてくれるだけで安心できる仲間がいる。

恋だってそうだ、1人じゃできない。

源と私が、幼い頃に遠い長野の地で出逢っていた。

そしてまた、今ここで一緒にいる。

それは不思議な偶然だけれど、今は運命だとは受け取れない。

黙って3人で足を進める。

いつの間にか雨はもう、ほとんどやんでいた。