あの頃のように笑いあえたら

ーーその瞬間だった。

私の頭の中を走馬灯のように、あの幼い頃の記憶が駆け巡る。

それは連続写真のようだったが、私の心に戦慄が走ったようだった。


ーー 源だ。


源に手を引かれながら、小走りに屋根のある場所へ向かう。

いつの間にか雨粒の勢いは増していた。
雷鳴も聞こえているが、耳に入らない。


ーー 源だ。


この、少し暖かく細い手。

「大丈夫か?いとな」

閉まっている工場の軒下で3人は雨宿りをさせてもらうことにした。

源は、優しく私の手を離す。

「……うん。大丈夫、やっぱり雷ニガテ」

心臓が飛び出しそうに高まっているのは、雷だけのせいじゃない。

「はは、マジか⁈子供かよ!」

勝は茶化しながらも、私の肩の雫を払ってくれる。

源は私の濡れた頭を払うフリをして、撫でてくれている。

大好きな大きな手。

私は2人の優しさに身を任せる。