あの頃のように笑いあえたら

「ほんと、雷鳴りそうな雲だな」

夕日の向こうの黒い雲は、さっきより少し近づいて来ている。

「うん、やだな。雷苦手」

「ははっ、子供みたいだな」

手を伸ばせば届く距離にいる、私を子供みたいと笑う君。

でもどんなにその横顔を見つめても、気持ちまではわからない。

すると、外を見ていた源が急にこっちを見るからドキッとした。

「来月、母さんの命日なんだ」

静かに、柔らかな声がゴンドラに響く。

「そっか……寒い時だったんだね」
「うん……」

あの文化祭の時から、彼は前へ進めてるだろうか。
気にはなっていたが、なかなか聞く機会がなかった。
こんな風に2人きりにはなかなかなれなかった。

「その前にさ、ちゃんと父さんと話してみようかなって思って」

ーー 源……。

その瞳にはまだ少し寂しさが残っていたが、眼差しには力強さがあった。

「そっか、大丈夫だよ。きっと分かってくれるよ」

いつの間にか、てっぺんを超えていたゴンドラの窓から夕日が射しこむ。