「うるちゃん、今日は笑顔ナシで〜」

「はーい、お願いしま〜す」

今年流行るらしいボウタイ襟のブラウスに、爽やかなライトグレーのパンツ。

ミステリアスがテーマだから、笑顔はナシなんだけど、今流行りのモノを身にまとっただけで、何がミステリアスなんだか分からない。

キレイな色のブラウスが、サラサラと肌にまとわりつく。

軽すぎるパンツが、ふわふわと気持ちを散らばせる。

いろいろなポーズ、何度も聞こえるシャッター音。

カメラのレンズに吸い込まれないように、必死で地面にしがみつく。

『うる』を演じるのは辛いわけじゃないけれど、胸の奥が騒ついてうるさい。

「いいねー!その感じ。あ、ちょっと右向いて!」

ーーカシャ! カシャ!

「はーい、オッケー!」

「はーい、ありがとうございます〜」

特集ページを組むらしく、いつもより多めに着替え、眩しすぎるライトを浴び続け、さすがに少し疲れた。