「源、部活は?」

急に名前を呼ばれ、少しびっくりした様子の芳川くんは、声の主である中本くんをしっかり見つめて言う。

「帰宅部」

シンプル、だけど強い口調。

「なんだよー!ラグビー来いよ!」

大きな手で招くように中本くんは言うが、芳川くんは少し微笑んだだけだった。

「あ、勝はラグビーなんだ」

「だからその体型!」

中本君はかなり大柄だ、机と椅子が窮屈そう。

それからも、和気あいあいと話しが進む。

「愛㮈、部活は?」

クールな真子が聞いてきた。

「んー…私も帰宅部かな。バイトやりたいし」

「へー、バイトか!いいな」

何のバイトかは、聞かないでほしいな。
最初からみんなに、ウソはつきたくたい。

でも、みんな気さくで話しやすくてよかった。

委員長になってしまったのは、運が悪かったけど、こうしてこの5人と近づくことができた。

自分から話しかけるのが苦手な私にとっては、むしろよかったのかもしれない。

そう、前向きに考えないとね。

始まったばかりの高校生活、どんなドキドキが待っているんだろう。