あの頃のように笑いあえたら

きょとんとした顔をしている私を見て少し微笑んだ源は、そのまま話を続ける。

「オレの母さんさ、サッカーが大好きで。その影響でオレはサッカー始めたんだ」

「そうなんだ」

少し色の剥げたボールを、愛おしそうに触るその頭の中では、彼のお母さんが笑っているんだろう。

「うん。ま、オレもすぐ夢中になったんだけど……オレが小学校入ってすぐに、両親が離婚してさ」

私は思わず顔を上げ、源の顔を見つめる。

「離婚?」

え……?

「そう。で、オレは母さんに引き取られて。変な時期に名字も変わって……でも、好きなサッカーだけはずっと続けてた」

感情を抑えるように、いつもより少し低い声。

丁寧に言葉を選んでいるのは、いつも通り。

私はまた、そんな質問をしたことを後悔していた。

話したくなかったんじゃないかな。

「母さんが死んでから、父さんと暮らすことになったけど。オレその頃、たぶん父さんから見たら狂ったようにサッカーばっかりやってたみたいでさ」

そうか。源はサッカーをすることでその寂しさを紛らわせていたんだ。

サッカーの好きなお母さんのそばに、いようとしたんだ。

「……うん」

「そしたらさ、ある日父さんが誰かと電話で話してるの、聞いちゃって……」

言葉を濁らせ、源はボールに顔を埋める。