あの頃のように笑いあえたら

ほんと、上手……。

源の上着に包まれ、目の前には私しか見ていない源の姿。

今なら、きっと話してくれる、なぜかそう思った。

「ね、源」
「ん……?」

跳ね上がるボールから目を離さずに返事をする。

私も源の蹴り上げるボールを追いながら続ける。

「どうして、サッカー部入らないの?」

ポン、ポンと鳴っていたボールの音が止み、床に転がるボールを拾いながら源が私の方へと振り向く。

その瞳が、いつもよりも増して寂しげで、私はその質問をしたことを後悔した。

源はボールを手にしたまま、私の前の席に座り向かい合う。

どんな答えが返ってくるのか、はぐらかされるのか……機嫌を損ねてしまっていないか……いろんなことが、頭の中を駆け巡る。

ボールの上に乗せられた腕に顔を乗せ、私に視線を合わせ源は言った。

「オレにとってサッカーは、母さんなんだ……」

ーー ん?

言ってる意味はよく分からなかった。

でも、私が思っていた以上に、源にとってサッカーというものが大事なものだということは、伝わってきた。

そしてはぐらかされなかったことも、機嫌を損ねなかったことも。