あの頃のように笑いあえたら

源が分かってくれていればそれでいい。
少し前の私ならそう思っていただろう。
でも、今は違う。

「少しずつ、みんなにも分かってもらえたらいいかなって」

今の素直な気持ちを源には言える。

君といると、私の心の壁は薄くなる。

それは私が好きだから、だけじゃないはず。

「……そうだな」

私が変わらなきゃともがいている姿を、源はずっと見守ってくれた。

そしてそっと、後ろから背中を押してくれた。
今、私が頑張れているのは源のおかげなんだよ。

「ねぇ、どうしてカンナの誘い断ったの?」

私は、もっと源のことが知りたいんだ。

いつもいつも、私のことばかり話していて、源のことは何も知らない。

「カンナ?……ああ。なんか飯行こうってやつ?」

「うん。残念がってたよ」

その表情からは、気持までは読み取れなかった。

「なんでって。おまえ以外のモデルはあんまよく知らないし……急に飯とか言われても……」

少し照れている源、困った表情。

「そっか。ああいう子、タイプじゃない?」

源は、どんな女の子にときめくんだろう。

「は?ほとんど話したこともないのに、分かんねーよ」

また、照れて顔をそむける。