あの頃のように笑いあえたら

「え?ほんとだ!愛㮈じゃん!」

そうこうしている間に、クラス中の女子に囲まれていた。

真子や咲苗が助けに入ってくれてるみたいだけど、全くおさまる気配がない。

「まさか、愛㮈がモデルだったなんてね」
「あはは、だよね」

「でもスタイルいいし、可愛いし」
「あ、ありがと」

みんなが雑誌の私と、今ここにいる私を見る。

こんな状況じゃ、こんなソワソワした心のままじゃ、うまく話せない。

本当は、ゆっくりと自分の気持ちを伝えたいのに。

ーーキーンコーン♫

その時チャイムが鳴り、反射的にみんな席に戻って行ったので、ほっとした。

「ごめん、またいろいろ教えて!」

そう言っていたのは菜穂だった。

いつもオシャレで可愛い菜穂。

彼女みたいな子がモデルだったら、みんな納得するのかな。

ダメだ……やっぱり私、ひねくれてる。

みんなに納得してもらいたいんじゃない、分かってもらいたいだけなのに。