あの頃のように笑いあえたら

ーー前髪を切ってから、2週間がすぎた。

あれから1度だけ、仕事の帰りに知らない子から声をかけられた。

仕事場以外でうるちゃんと呼ばれるのは、なんだか照れ臭い。

こんな私と握手をしたい、写真を撮りたいなんて……なんだかな、分らない。

昨日は雑誌の最新号の発売日だった。

その日の昼休み、珍しくクラスメイトの萌と菜穂が近寄ってきた。

発売したばかりの雑誌を手に。

ドキッ、まさか。

「ねね、このうるちゃんてモデル、愛㮈に似てない?」

興味深々な顔つきの菜穂は、このクラスでは派手な印象のキレイな子だ。

付嘱中出身だから知らない顔ではないが、あまり話したことはない。


ーーもう隠さない、そう決めた。

私が前へ進むための勇気を、源がくれたんだ。


「あ、うん。それ実は私……」
「ん?うっそ?」

冗談と思っているのか、2人ともキョトンとしている。