使徒は雨音に隠れて _ 1




人生初の、生理休暇を取得した。

夜中から始まった、下腹部を叩く鈍痛。朝方には、予想通り出血大サービスが始まった。


今回の痛みは重そうだと予感する。サイドボードの一番上の引き出し、もう一箱あるはずだった痛み止めは…


『うそ…ない…。汗』


さすがに、救急車のお世話になったことはないけれど。それでもなかなか痛む方だと自負してる。
勤務中にも一度、立ち上がれなくなって医務室に運ばれたことがあった。

薬がないのは心細いな。




何とか起き上がった、起床時刻6:30。
前かがみになりながらも、顔を洗ってスキンケアに取り掛かったたものの___________

両手で抱えないといられなくなった痛みに、ついに断念する。




レンジでチンした湯たんぽを抱えて、ベッドにうずくまる。
一人くらいは出勤してそうな8:00を待って、会社に電話をした。
受電者は小堺課長。振り絞るようにして発声してるのに、いつもののんびりした声で「どうしました?その声は風邪かな?」なんて言うから。



『生理休暇ください。』

「セイリキュウ…セイリ。
…あ!ああっ!わか、分かりました分かりました!」


男の人に気の毒かなとも思ったけど。電話の向こうで慌てる気配に、『明日は行けると思います』それだけ言って電話を切った。


やばい、痛い。。涙
ちょっと波が引いたら、薬買いに行こう。初日でこの痛み、ただごとじゃない…



『あてて…泣』


隙なく襲ってくる痛みに、腰の位置を変えるのも一苦労。
なんとかブランケットを捲った隙間に身体を横たえた。


喉乾いたな。だけど起き上がれる気力がない。
次の合間まで我慢して、お水取りに行こう。







リビングから続くベッドルームは、薄暗いまま。今朝は朝の光がカーテンを透けて来ない。
身体が動かないように、そっと指先だけ伸ばしてローラアシュレイの薔薇柄を捲れば。

窓の外は、昨日に引き続くひどい雨だった。