ラプラムル王国に小さな姫が誕生日した。

長年、子供が出来ずにいた国王と王妃と、
そして国民にとっては待望の赤子だった。


けれど、そんなこととは裏腹にラプラムルの国内は、暗く沈んで思い雰囲気を纏い、笑顔などは一つも見られない。

国民はおとなも子供も、真っ白で無機質な喪服をまとい、悲しみの唄を歌った。



この国の国民は皆、国の象徴である、王鹿の毛皮と同じ金の髪、そして華狐と同じ蒼の瞳を持っている。

金髪はくすみが無ければ無いほど高貴な証で、碧眼はガラス玉のように透き通っているほど美しいとされた。

また、国の国旗にも描かれている王鹿と呼ばれる金の毛皮の鹿と、華狐と言われる蒼碧の目を持つ白い狐は、神の使者と信じられて、幸福を運んでくると教えられている。


けれど、時折 ー本当に稀に
漆黒の髪に灰色の瞳を持つ子供が生まれることがある。
ーーまさにラプラムル国の長年の宿敵、ヴァイアライム王国の象徴、カラスとフクロウのような色の子供が。




そう、此度ラプラムル王と王妃の間に生まれ子供のようにーーーー。