おばさんとそんな攻防をしながら見ていた試合も、5回の裏に入りようやく俊ちゃんが約束を果たすときがやって来た。


ーーーーカキーン。


俊ちゃんが降ったバットに球があたり、綺麗な弧を描いて遠くへ遠くへと飛んでいく。


2塁をすり抜けて伸びていく球は、外野のおじちゃんのグローブの中へおさまると思いきや、ぎりぎりのところで弾かれそのまま高く上がっていった。


おじちゃんがボールをとり、どこに送るか周りを確認する頃には俊ちゃんは余裕でホームに帰ってきていた。


見事な満塁ホームランだ。


まずは豆腐屋のおじさんが俊ちゃんに飛びつき、その次に団子屋の次男が嬉しそうに背中をバシバシと叩くと、商店街の皆が俊ちゃんをワラワラと取り囲む。