「ねえねえ、かのちゃん。」
隣に居る八百屋のおばさんに声をかけられ、何かと思ってそちらを見ると、おばさんは妙にニヤニヤとした顔で私を見ていた。
しかも、若干頬を染めて。
「はい?」
「俊ちゃんとは、いつ頃結婚するの?」
「へ?!」
あまりにも突拍子もない質問に、今度は俊ちゃんのスマホを落としかけた。
まあ、この街の人たちにはよくされる質問の類ではあるけど。
まさか、こんなタイミングで富澤君のお母さんからこんなこと聞かれるなんて。
「いや私、俊ちゃんと結婚なんてしないよ?!」
「またまた〜。いいのよ、隠さなくても。」
「いやいや、本当にそんな関係じゃないの。おばさんもよく知ってるでしょう?小さい頃から家が近くて仲良いだけだって。」
「あら、そうなの?」
そう言いつつ、おばさんは全然納得してない顔だ。

